歌がきらめく、あの日のこと

最近、お店で流れてる演歌を聴いてると、ふと、ある光景が目に浮かぶんだよね。カウンターに座ってるお父さんたちが、演歌の歌詞に合わせて「そう、そう」って静かに頷いてるの。なんか、その姿がすごく温かくて、私もついつい聴き入っちゃうんだ。
かと思えば、失恋ソングが流れると、若いお客さんがボロボロ泣き始めたりして。初めて来た人でも、その歌に自分の気持ちを重ねちゃうんだろうなって。歌って本当に不思議だよね。まるで、自分のために歌ってくれてるみたいに思えちゃう。
お店では、お客さんからリクエスト曲をいただくことも多いんだけど、その曲を聴いてると、その人が今どんな気持ちでいるのか、どんな状況なのかなって、なんだか分かっちゃうんだよね。例えば、昔のヒット曲を懐かしそうにリクエストする人は、きっとあの頃の楽しかった思い出を振り返ってるのかなとか。元気いっぱいのポップスを歌う人は、今日一日頑張った自分へのご褒美かな、とか。
ママはずっとこのお店をやってるんだけど、いつの間にかお客さんの人生相談役みたいになっちゃってるんだ。まあ、私も隣で、お茶を出しながら、時々相槌を打ってるんだけどね。誰かの悩みを聞いて、少しでも気持ちが軽くなるなら、それはそれで嬉しいことかなって思うんだ。
この間も、ちょっと元気がない様子の常連さんが来て、黯い曲をリクエストしたんだ。「なんか、元気出ないなぁ…」って、ポツリって。ママが「あらあら、どうしたの?」って優しく声をかけて、しばらくしたら、その人が「あ、そうだ!この曲、元気が出るんだ!」って、急に明るい曲に変えて歌い始めたの。その変化に、私もちょっとびっくりしたし、でも、なんだか嬉しくなっちゃった。歌の力って、本当にすごいなって、改めて感じた瞬間だったよ。
歌が流れると、お店の雰囲気がガラッと変わるのが面白いんだ。静かな夜にしっとりとしたバラードが流れると、みんな少しだけ静かになって、自分の世界に入ってるみたい。かと思えば、みんなでワイワイ歌えるようなアップテンポな曲が流れると、自然と笑顔がこぼれて、会話も弾むんだよね。
私たちって、日々の生活の中で、色々な感情を抱えてるじゃない?嬉しい時も、悲しい時も、モヤモヤする時も。そんな時、歌はそっと寄り添ってくれたり、背中を押してくれたりする、大切な存在なのかもしれない。
演歌を聴いて頷くお父さんたちも、失恋ソングに涙する若い子たちも、みんな歌の中に「自分」を見つけてるんだと思う。自分の人生、自分の気持ちを、歌が代弁してくれてるように感じて。それが、たくさんの人を惹きつける理由なんだろうなって、私は思うんだ。
私も、これからどんな歌と出会うんだろう。どんな歌を歌うんだろう。お店で流れる歌に、お客さんの笑顔に、これからもたくさん元気をもらっていきたいな。そして、いつか私も、誰かの心に響くような、そんな歌を歌えたらいいなって、ひそかに思ってるんだ。なんだか、歌ってると、気分まで晴れやかになる気がするもんね。ま、そんな都合のいいことばっかりじゃないけどね(笑)。でも、歌があるだけで、日常がちょっとだけキラキラする気がするんだ、私。
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