あのカウンターの魔法、また立ちたいな

スナックをやっていた頃のこと、ふと思い出すと、もう、とにかく「楽しかった」って言葉しか出てこへんねん。もちろん、大変なことも、なんでやねん!って思うような理不尽なこと、一人で泣きたくなる夜もあったよ。でもね、不思議と全部「楽しかった」っていう気持ちが上回ってしまうんよなぁ。
あの、ちょっと古びた暖簾をくぐって、お客さんが入ってくる瞬間。カウンター越しに、色んな話をして、一緒に笑って、また明日ねって手を振る。そんな、ごく当たり前のことなんやけど、それがこんなに楽しくて、心が満たされることだって、あの頃の私は想像もしてなかった。
スナックっていう場所は、私に「仕事って、こんなに楽しんでいいんだよ」って、教えてくれた場所やったと思う。お客さん一人ひとりに、それぞれの物語があって、それを少しだけ聞かせてもらって、共感したり、励ましたり。時には、ただ黙って隣に座って、お酒を飲むだけの日もあったけど、それでも「ここにいてくれてありがとう」って、心の中で思ってた。
カウンターにお皿を並べたり、お酒を用意したり、そんな細かい作業ひとつひとつにも、なんかこう、愛着が湧いてくるんよ。お客さんが「ここの〇〇が美味しいんだよね」って言ってくれたり、今日あった良いこと、辛かったことを話してくれたり。そういうやり取りが、全部私を支えてくれてた気がする。
もちろん、酔っ払ったお客さんとのやり取りで、ちょっとヒヤッとする時もあったり、疲れて「もう無理かも…」って思う日もあった。それでも、朝になると「今日も頑張ろう」って思えるのは、あの場所が、私にとって本当に特別やったからやと思う。
今でも、ふとした夜に「あー、またあのカウンターに立ちたいな」って思うことがあるんよ。お客さんの笑顔とか、賑やかな声とか、お酒の匂いとか、色んなものが蘇ってくる。あの場所でしか味わえない、独特の温かさがあったんよなぁ。
仕事って、ただお金を稼ぐためだけのものではないって、スナックは教えてくれた。人と人との繋がりとか、温かい時間とか、そういうかけがえのないものを、たくさん私に与えてくれた場所。
あの頃は、毎日が宝物やったみたいに感じる。大変なこともあったけど、それを乗り越えたからこそ、今の私がいるんやろうなって思うと、なんだか感慨深い。本当に、本当に楽しかった。またいつか、あの暖簾をくぐって、カウンターに立ちたいな、なんて、そんなことを思う夜でした。✨
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